タイの治安って、実際どうなの? 初心者ひとり旅での安全性を検証する

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初めて赴く外国の地について、大きな関心事といえば治安であろう。特に旅慣れていない、タイひとり旅初心者ならば、その比重も大きいはず。そこで、これからタイにひとり旅せんとする勇者諸氏に、私の実体験を踏まえた安全情報をお伝えしたい。

海外と聞いただけで治安が心配と感じていた、かつての私

世界でも、指折りの治安を誇る国、日本。この国で長く生活していると、他のどの国も危険に思えてくる。コソ泥、強盗、ギャング団、テロリスト・・・。かつての私は、とても海外旅行に行く気など、さらさら起きなかったのである。

ところが仕事の関係上、どうしても海外、すなわちタイに行かざるを得なくなり、致し方なくタイの地に降り立った。

「どこからともなく狙われているのかもしれない」

初めはしなくてよい心配までして、ビクビクしながら過ごしたものである。

しかしながら、バンコクは極めて外国人旅行者の多い観光立国であること、深夜でも人でごった返す繁華街が多いこと、現地人の知り合いができたことなどの理由により、次第に危険を感じることが少なくなっていった。

スクンビットのナナ、アソーク、プロンポン辺りであれば、深夜でも1人でうろつくことができるまでに成長するのに、そう長くはかからなかった。

軍事クーデター、爆弾テロ、独立運動。危険なキーワードが踊る国、タイ

ところが、である。2006年には軍事クーデターが勃発した。戦車が街中を走行し、銃を構えた兵士の姿が大きく報道され、緊張感が一気に高まった。すわ一大事とばかり、早速現地人に、どんな状況かを問い合わせてみると、その答えは意外にも「安全」であった。

中には戦車や兵士と記念撮影する人さえいて、クーデターという言葉の響きとは程遠いようであった。事実、直後にタイを訪れてみたが、特に危険を感ずることもなく、至って平常のバンコクであった。

それに観光が一大産業のタイにおいて、外国人を巻き込むようなクーデターが利口でないことは、権力の座を狙う首謀者ならば、よく理解しているはずである。したがって、あえて群衆が集結しているようなホットゾーンに出歩かなければ、危険度は低い。

では、タイ南部のイスラム圏で頻繁に繰り返されている独立テロはどうか。外務省の渡航情報でもレベル3の渡航中止勧告が発令中であり、毎日のようにドンパチがある地域である。確かに危険だろう。だが、バンコクからは遠く離れているし、ここでもあえて行くことを止めさえすれば、簡単に危険を回避することができる。

じゃあ、バンコクの中心部、超有名観光スポットであるエラワン祠で起こった爆破テロはどう考えるか。私もこれには肝を冷やしたが、警察官が常駐する等して、以後は警備が強化されたことから、むしろ周囲は安全と言えるようになった。

しかし、よくよく考えてみると、テロはいつ何時、どこで起こるのか、全く予想ができないものである。テロが起こる確率が低い日本にいたとしても、通り魔に襲われることもあれば、ヘリが墜落することもあるのであり、結局、想定外の事件事故を完全に避けることなぞできはしない。

したがって、前述のキーワードに、過敏に反応する必要はないといえる。

私の30回近い訪タイで危険を感じたもの、それはソイ・ドッグ(野犬)だ

私は30回近い訪タイの経験があるが、人間から怖ろしい目に遭わされたことはない。あるのは、野犬だ。

タイでは、街の至る所に野犬を見つけることができる。日中は、暑さで惰眠をむさぼっているが、夜、やつらの行動は活発化する。

人気の多い道で野犬に遭遇したとしても、やつらはこちらを気にするそぶりも見せないが、暗いソイを1人で歩いているときには危険度がグッと増す。ワンワン吠えて仲間を集め、こちらを威嚇してくるのだ。

【実例①】場所はスクンビットのソイ24、時刻は深夜2時頃。1人でホテルに向かって歩いていると、突然、前方の闇の中から、数匹の野犬が私に吠えてきた。余りの恐怖にやってはいけないと分かっていながらも、私は小走りで逃げた。

幸運にも、なぜかやつらは私を追ってこなかったのだが、「逃げる相手を追いかける犬の習性」に思いを馳せると、この方法は採るべきではなかった。

実際、2日後に同じ場所で野犬数匹に吠えられた現地のホームレスがいた。私は安全圏からそれを観察していたのだが、彼は全く動じることなくゆっくりと野犬に近づいて立ち止まった。すると、吠えていた野犬も、威嚇を諦めて散っていったのであった。肝の据わった彼の域に達するのは難しいが、しかし怖がったそぶりを見せず、堂々とした態度が身を守ってくれるのだというヒントを得た。

【実例②】シーナカリンにある鉄道市場の開催日は金、土、日曜日であるのだが、そのことを知らずに訪れてしまった、ある夕方のことである。当然、広大な市場は閑散としている。この地をここぞとばかりに根城にする野犬の群れに、私の姿を発見されてしまったのだ。

偵察兵が遠くからワンワンと警告を発すると、四方から仲間の野犬が集結し、編隊を組みつつ私との距離を詰めてきた。背筋が凍り付いた。「あわてるな、落ち着け」と自分に言い聞かせながらゆっくりと反転し、歩いて逃げた。しかし背中をやつらに見せてしまったことは、やはり危険だったと反省している。このときは、広大な市場の中だったので距離が十分にあり、野犬も深追いをあえてせず、したがって、助かったのではないかと思われる。

▲画面中央に小さく見える野犬の姿が見えるだろうか。四方から仲間の野犬が集まってきた

野犬についての素朴な疑問をタイ人に聴いてみた

タイの東大と言われるチュラロンコン大学の学生、ビーちゃんに質問した。

Q:タイ人は、野犬が怖くないのですか?

 A:私は怖いです。普段から近づかないようにしています。

Q:もし襲われたらどうしますか?

 A:走って逃げるしかないと思います。でも、逃げると後ろから噛みつかれると聞いたことがあります。

別の男子学生にも尋ねてみた。彼いわく、

「タイ人でも犬を怖がる人はいる。野犬に出くわしたときは、何もせず、ただ通り過ぎればよい。もし走って逃げたなら、それは貴方が犬よりも弱いことを、犬に悟らせることになる」

この問答から分かったことは、野犬と共に暮らすタイ人であっても、全員が野犬の恐怖を克服している訳ではなく、また、決定的な回避策も持っていないということである。

野犬に腕を噛まれた被害者にも話を聴いた

若くして美容系の事業主だというリタさん(26)からも野犬にまつわる話が聴けた。

「私は買い物に行ったときに野犬に噛みつかれてしまったの。ほら、ここよ(と負傷した腕を見せてくれた)。おかげで何度も病院通いする羽目になったわ。いいこと、野犬、それから夜間の一人歩きでの強盗には、気を付けることよ」

暗い夜道の一人歩きには気を付けろ、とは何人かのタイ人から忠告されたことがある。バイクでヒットアンドウエーする強盗がいるのだという。だが、何もタイに限った話ではない。「なんかこの夜道、嫌な予感がするぞ」と不穏な雰囲気を肌で感じたら、そこには近づかないのが鉄則だろう。

▲スリにご注意の看板。奴らは一瞬の隙を狙っている

野犬だけじゃない!強盗対策にも有効なアイテム発見

銃器や刃物は論外だが、一人歩きの重荷にならずにラクに携帯でき、かつ手頃な価格の護身用具はないかと探していたところ、閃いたのが「ライト」であった。映画などで、また実際にも、警察官が肩に付けたライトで不審者を照らす光景を見たことはないだろうか。

たとえばマグライトは素材が硬く、相手の攻撃を防いだり、あるいは打撃を加えることも可能だ。

ただ、マグライトは高価だし、それに光の束 ―ルーメンというらしい― の数値がそれ程でもないようだ。ネットで代替品を探すと、たったの千円ちょいで強力な携帯用ライトが販売されており、飛びつくようにして購入した。それがこれである。

▲購入した携帯ライト。ポケットにも収まるサイズ

照射範囲の拡大、縮小の調節が可能で、ピンポイントにした光は明るく強力である

私が想定したのは、次のような場面である。

夜間、暗い夜道を歩いていると、ごろつきの野犬が唸りながら近づいてくる。すかさず強力ライトを野犬に照射し、光の幻惑により撃退する。それでも万一、こちらに襲い掛かってきたときには、ライトを特殊警棒代わりにして身を守る・・・

これは、野犬を暴漢に置き換えることも可能だ。ライトには、高速点滅モードも備わっており、強力な光の点滅は、護身に効果的と思われる。

また、ポケットにも収まるサイズであり、夜道を照らすという通常の役割においても有用だ。タイひとり旅での私の必需品となった。

野犬の他では、アラブ系窃盗師、日本語堪能インチキおやじ、そして暴力バーの用心棒

野犬以外では、30回近い訪タイにおいて、特段の危険を感じたことはないのだが、外務省渡航情報やガイドブックなどでも注意喚起がなされている、アラブ系窃盗師に遭遇したことがあったのでご紹介したい。

【実例① アラブ系窃盗師】場所はスクンビットのソイ20にあるコンビニだ。夜、買い出しに入店すると、アラブ系の30歳くらいのカップルが突然話しかけてきた。

アラブ系詐欺師の男

「ハイ! こんばんは。私、今度、日本に旅行に行きます。キョート、オーサカ!」

などと言って近づいてきたその手には、米ドル紙幣をたくさん見せつけるように所持していた。そして、

アラブ系詐欺師の男

「あなたの紙幣を見せて欲しい」

「お金持ってるでしょ、見せて! お金を見せて!」

と身振り手振りで迫ってきたのだ。どうやら男が実行犯で、女は見張り役のようである。私が相手にしないでいると、アラブ系は「ダメだな、諦めよう」とばかりアイコンタクトを取って去っていった。

彼奴の手口は、紙幣を言葉巧みに受け取ると、何枚かを抜き取ったり、盗んだり、奪ったりするのだという。

日本人は、特にカモだと思われているようでもある。「紙幣を見せてくれ」などと突然話しかけてくるアラブ系には絶対に相手にしないこと。しつこい場合には、

「カモーイ(泥棒)」

と叫んでやるとよい。

【実例② 日本語堪能インチキおやじ】場所はアユタヤのワット・ロカヤスタである。寝仏の寺として有名であり、ストリートファイターの背景画にも描かれているのでご存知の向きも多いのではなかろうか。

▲ゲームの背景でもおなじみの寝仏

ここを訪れていた時、横から突然に

日本語堪能インチキおやじ

「ミ、ヤ、サ、コです!」

と宮迫博之の手つきをマネしながら登場した、日本語を操るタイ人インチキおやじが現れたのだ。日本の芸人のマネをして日本人の警戒を解き、詐欺を仕掛けてくる辺りは熟練の技といえる。

日本語堪能インチキおやじ

「ちょっとこれ見てよ、日本のお金でしょ? 私、これ持っていても使えないから、タイのお金と交換してよ」

と言って見せてきたのが日本のコインである。合計で数百円くらいだったであろうか。このコインとタイのお金をエクスチェンジせよ、とインチキ宮迫。

おそらくこんなところではないかな、と推理した。すなわち、「日本人観光客がお賽銭として置いて行った日本の硬貨を盗み、それを日本人に示してタイのお金と交換させて詐欺しようとしている」のだな、と。

したがって、私はそのコインをフムフムと観察して

「宮迫のおっちゃん、こりゃ、日本の硬貨と違いまっせ。偽物のコインでっせ」

と言い放ってやった。インチキ宮迫は、フーンと一言。他の日本人を探すためか、離れていった。

【実例③ 暴力バーの用心棒】場所はパッポン通りのゴーゴーバー、しかも、2階にある店だ。地球の歩き方のマップにも、「ここの2階キケン」とか小さく書かれていたはずだ。で、被害者は私ではなく、悪友の小森である。

▲パッポン通りの夜。多くの屋台と観光客でごった返す。値段は高め

小森にとって2度目の訪タイにおいて、小森は1人でパッポン通りを彷徨い、それなりに酩酊し、フラフラとしながら、行ってはいけない2階にあるゴーゴーバーに入店してしまった。2杯くらい酒を飲んで会計したところ、法外な料金を請求をされたのだという。キケンな店の火の中に飛び込んだ夏の虫、そうなるのも必然だ。

気が小さい小森は、酒の力で自らを酩酊状態に陥れ、もって、普段はできないような行動を起こす作戦をしばしば行う。いわゆる原因において自由な行為である。シラフでは入れそうにないパッポン通りのゴーゴーバーでも、酒の力で突撃することが出来るのだ。だが、皮肉にも、それが正常な判断力を失わせてしまった格好となった。

小森

「高すぎるだろ、フザケンナ! こんなの払える訳ないだろう!!」

とバーガールに悪態をつくと、奥から怖い用心棒が現れたという。テレビドラマでよくあるシーンが目の前で再現されたのだ。

一気に酔いが醒める小森。財布を出せと脅され、帰りの交通費を除いた紙幣すべてを巻き上げられたという。

小森

「いやァ、あのときはマジでビビりましたよ。血の気が引きましたよ」

と小森。飲酒しての無鉄砲な行動は、異国の地では慎まなくてはならないだろう。

結論。ひとり旅初心者でも、タイは、比較的安全と言える

以上、検討してきたように、タイでは、身に危険が迫るような事件事故にぶつかる可能性は低く、過度に心配する必要はないといえるだろう。

何より、私のような外国語も堪能でない、どこにでもいるアラフォー男でさえ、何度もひとり旅できているという実績がある。

ただし、行く先々に応じて、気を付けておくべき、知っておくべき知識というものがあり、また、節度というものもある。

これさえ守っていれば、楽しいタイひとり旅が十分に可能である。また嬉しいことにLCCの登場により、バンコクもグッと近い存在になった。

「そうだ、バンコク、行こう」

有給休暇、連休、または週末を利用して、ぶらっとひとり旅に出かけてみてはいかがでしょう?

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