「欠航した!」「ケガをした、病気をした!」海外旅行で発生したトラブルに、クレジットカードの付帯保険は、本当に❝使える❞保険なのか?実例をもとに検証します(前編)

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非日常を楽しむことのできる海外旅行。でも、予期せぬトラブルが楽しい旅を台無しにしてしまう場合も起こり得ます。そこで、これらに対応することのできる海外傷害保険の加入は不可欠と申せましょう。この点、海外旅行の度に空港カウンターなどで一時的に保険に加入する、またはクレジットカードに付帯されている海外傷害保険を活用する、という選択肢があります。

今回、私はスクート航空が欠航するというトラブルに見舞われ、さらにバンコクで怪我をしてしまったのですが、これに対処すべく、クレジットカード付帯の海外傷害保険を使ってみたところ、トラブルに見舞われて初めて分かった問題点が見えてきたのでした。そこで、これらをご報告し、皆様が安心して海外旅行を楽しむことのできるお手伝いをさせていただきたく存じます。

トータルで考えると、クレジットカードの付帯保険がベターと判断した

初めての海外旅行の頃、私が所持していたクレジットカードは、年会費無料のものでした。したがって、付帯する海外傷害保険の内容も貧弱であり、しかも「このカードで決済した場合にだけ補償します」というタイプのものでしたので、実際に役立つことは少なく、私は出発直前の空港やインターネット上において、旅行期間中だけカバーされる保険にいちいち加入していました。

しかし、毎回手続するのも面倒ですし、クレジットカードのサービスにも興味を抱きつつあった私は、その付帯保険に注目してみました。確かに年会費は数万円してしまうかもしれない。でも、それ以上にメリットがあるのではないかと考え、高い年会費のクレジットカードに加入することに方針を転換したのでした。

「出掛ケルトキハ、忘レズニ」私が現在活用しているメインのカードは、次の2つ

では、あまたあるクレジットカードから、どれを選んだのか。私が現在活用しているのは、以前から軽い憧れのようなものを持っていたアメリカンエキスプレスです。アメックスといえば、「年会費が高い」というマイナスなイメージが強いです。ただ、その反面、海外旅行などにおいて強さを発揮しますよというのが彼らのセールストークでもあります。年会費がとても高くつくので、私にとっては身分不相応なのですが思い切って入会しました。そして現在の主力は、次の2選手となっております。

①spg アメリカンエキスプレス

②セゾンプラチナ アメリカンエキスプレス

「おい、②はアメックスじゃないぞ、セゾンカードだぞ」おっしゃるとおり、②はセゾンカードです。ただ、このカードは、とてもコスパのよいカードなのです。セゾンだって、アメリカンエキスプレスの名を借りる以上、頑張っているのです。

アメリカンエキスプレス ブランドの長所はなに?

じゃあ、わざわざ高い年会費を払ってまで得られる特徴って何なのさ?という点を、「海外旅行」で用いるという観点に絞って、端的にご説明いたします。

spgアメリカンエキスプレス カード

《長所》

◎国内外の5ツ星ホテルに1泊無料宿泊ができる

⇒2年目以降の年会費支払が完了した後、国内外のシェラトンやマリオット、さらにはリッツカールトンまで、高級5ツ星ホテルに無料宿泊できる特典があります。すなわち、これだけで年会費の元が取れるという訳です。たとえば、年末年始の最も宿泊費が嵩む時期に予約することもできますので、活用方法によっては、極めて高いコストパフォーマンスを発揮することになるのです。

さらに、スターウッドプリファードゲストとマリオットリワードのゴールド会員にもなることができますので、ホテルライフをエンジョイしたい方にとっては、非常に魅力的なカードと言えます。

また、会員からの紹介で入会すると、ボーナスポイントがもらえるキャンペーンもあり、私も入会したところ、結局17,000ポイントを獲得することができました。これだけあれば、余裕で無料宿泊できてしまいます。

◎海外で日本語によるサポートが受けられる

⇒実は、このサービスには大きな欠陥がありました。後述します。

《短所》

×年会費が33,480円と高額である

⇒世の中には年会費無料のクレジットカードもあるのに、これだけの高い年会費を支払うことには強い抵抗感があります。実際、後述するとおり、高い年会費とサービスとが見合わないものもあります。

セゾンプラチナ・アメリカンエキスプレス カード

《長所》

◎質の高い海外傷害保険が、自動付帯される

⇒なんといっても、この点が素晴らしいです。後述しますが、今回私が見舞われたトラブルを救出してくれたのが、このセゾンプラチナ・アメリカンエキスプレスだったのでした。利用付帯でなく自動付帯の保険ですので、「保険に加入し忘れた」ということもなく、不精な私でも、とても安心できるのです。ちなみに、同等の保険を7日間単発でかけるとすれば、1回あたり、3,000円程度の保険料となるようです。

◎プライオリティパスのプレステージ会員が無料でついてくる

⇒これも素晴らしい特典です。海外旅行においては、出発時間まで空港ラウンジでゆったりと過ごしたいものですが、セゾンプラチナに入会すると、世界各国のほとんどの空港に網羅されている系列ラウンジを利用できるプライオリティパスが、なんと無料で送付されてきます。

このプライオリティパスですが、「スタンダード会員(99ドル)、スタンダードプラス会員(249ドル)、プレステージ会員(399ドル)」の3種類があり、その中の最高ランクであるプレステージ会員(1年間、無制限でラウンジの利用が可能)が取得できてしまうのです。これだけで年会費の元が取れてしまいますね。

ちなみに、SPGでは、「国内外の空港ラウンジを、ご同伴の方1名様と共に無料でご利用いただけます」としか紹介されていません。「それって、どこのラウンジだよ」とツッコミたくなりますが、調べてみたところ、国外では、なんとハワイと韓国のたったの2か所だけでした。これが口ごもっていた理由なのですね。

ちなみに、アメックスのゴールドカードですと、プライオリティパスは、年に2回までしか無料で利用できません。

◎スーツケースの無料宅配

⇒大きなスーツケースを空港まで運び、また帰国の際にこれを持ち帰る作業は、とても煩わしいものです。ところが、セゾンプラチナでは、スーツケース1つに限りますが、行きと帰りの宅配料金が無料になるのです。1回あたりの料金を2,000円と見積もり、年に3回海外旅行に行く場合に利用したとすると、それだけで12,000円が浮くことになります。楽ちんになるうえ費用もかかりませんので、このサービスも非常に優れていると言えます。

なお、spgアメリカンエキスプレスにも手荷物宅配のサービスがあるのですが、なんとそこでは帰国時だけしか無料になりません。ケチっていますね。

◎海外で日本語によるサポートが受けられる

⇒完ぺきとまでは言えませんが、セゾンはアメックスと異なり、会員の立場を考えたサポートをしてくれています。及第点を付けられます。

《短所》

×年会費が高い

⇒21,600円という比較的高額な年会費。ただし、前述したように、年会費以上のベネフィットが受けられるので、短所とまでは言えないでしょう。

×「セゾン」である

⇒中には、セゾンカードという名前の響きに抵抗感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実際には中身もコストパフォーマンスも優れており、サービスは本家のアメックスを凌いでいるケースも多いです。

さて、以下において、実際に起きたトラブルに対して、クレジットカード付帯の保険がどの程度、会員の力になってくれたのかを検証してまいります。

【実例1 飛行機が欠航した】

前回の記事において、搭乗予定であったLCCのスクート航空が欠航(遅延)してしまうという全く予期せぬトラブルに見舞われた私は、瞬時に「クレジットカードの保険で何らかの補償が受けられないか」と思いつき、早速カード会社に問い合わせをしてみることにしました。主力の2枚である、アメックスとセゾンの2社に電話を架けました。

アメックスspg

「欠航の場合には、お食事代が2万円まで補償されます」

セゾンプラチナ

「欠航の場合には、お食事代、宿泊費、交通費、国際電話等の費用が3万円まで保障されます」

ここでも、セゾンプラチナの方がハイパフォーマンスを発揮しています。アメックスが食事代だけを補償するのに対し、セゾンでは、宿泊費や交通費などの合計3万円までを補償するというのです。ただし、どちらも「代わりの航空券代金」までは補償してくれません。これについては、航空会社の方でなんとかするはずだ、ということなのでしょう。

したがって、欠航便を補償してもらう場合には、航空会社を相手にする必要が生じてきます。ANAやJALならばともかく、海外資本のLCCなぞ、けんもほろろに「補償なぞ、してやらない」という場合もでてくるかもしれません。LCCを利用する場合には、リスクに十分備えておくべきでしょう。

ところで、アメックスでもセゾンでも、海外傷害保険を扱うのは損保会社であり、両社ともに損保ジャパン日本興亜と提携しておりました。私の場合、どちらのカードの保険を利用したとしても、結局は損保ジャパン日本興亜に保険金を請求することになるのですが、今回でいえば、セゾンプラチナの方で請求する方が有利です。そこで、カードを複数持っている場合の保険の適用はどのようになるのかを尋ねてみたところ、

保険会社係員

「複数のカードの保険は、合算されますよ」

とのことでした。すなわち、今回のケースに当てはめると、

アメックスspgで「飲食費2万円まで」

セゾンプラチナで「飲食費、宿泊費、交通費、通信費の計3万円まで」

合計「最大5万円まで」

が補償されることになるというのです。これは、考えてみればすごいことです。たとえば、3万円のホテルに泊まり(セゾンで補填)、2万円の飲食(アメックスで補填)をすることもできる訳ですから、欠航により、かなりの贅沢が理論上は可能となります。

今回は、代替便と宿泊費をスクート航空が補填してくれましたので、私は売店などでジュースやアイスを購入したものを飲食代として請求したところ、無事に補填されました。

【実例2 海外でケガをした、病気になった】

数年前、バンコクで食あたりをおこし、激しく嘔吐してしまったことがありました。運よく、お店の人に近所の町医者に連れて行ってもらったのですが、このときにかかった医療費は全額保険で賄われた経験があります。クレジットカード会社によっては、日本語の通じる病院を紹介してくれるサービスもあるようですが、このときは日本語を話すことのできる店員さんがいたという幸運も重なり、そういった手間をかける必要はありませんでした。

しかし今回は、屋外でケガをしてしまいました。野良猫に手を引っ掻かれてしまったしまったのです。先ごろ日本でも、野良猫に噛みつかれた女性が死亡したという事件があったばかりでしたので、私も慌てて調べてみたところ、野良猫の爪には細菌やらウイルスやらが寄生していて重症化する場合もあると知り、一瞬血の気が引きました。これには潜伏期間があるとも言います。

そうすると、帰国してから発病した場合、保険会社から、

「海外でケガしたものかどうか証明できませんよね? だから保険金は支払いません」

と撥ねつけられてしまう危険性を察知し、今いるタイ国内でカード会社に申告しておくべきだと感じたことから、電話連絡をしようと試みたのです。ところが、これが極めて障壁の高いものであることが判明したのでした。

「タイから日本へコレクトコールを架ける。でも、どうやって架けたらよいのだ?」

私には海外SIMカードを挿入してあるiPhoneがありますので通話はできます。カード会社に電話しようと思うのですが、どこに電話したらよいのでしょうか。spgアメリカンエキスプレスカードの裏面を見ますと、「海外からの場合」として日本国外から架ける場合の電話番号が載っておりましたので、さしあたりはここに電話すれば何とかなるのでしょう。なお、セゾンプラチナには、海外からの場合の電話番号は記載されていません。

ところがです。ここに電話するとなると、クソ高い国際電話料金をこちらが負担しなくてはなりません。そこで、国際通話をコレクトコールで架けることができないかを、iPhoneで検索しました。すると、

KDDIジャパンダイレクト
1800-0-081-10(タイ国内から日本へ発信する場合)

このサービスを自力で見つけ出しました。カードの裏面には電話番号こそ印刷されてはいますが、どのように海外から電話すればよいのかまでは書いてありません、非常に不親切ですよね。

さて、KDDIのオペレーターは日本人でした。受け答えも的確だったことも救いでした。アメックスの電話番号を伝えるとオペレーターが私に代わってここへ電話を架け、アメックスに「今、国際通話がコレクトコールで架かってきています」とまず説明したうえで私とアメックスとの電話を繋ぐという作業をするようです。こちらはトラブルで不安に陥っているのですから、一刻も早く担当者と話がしたかったのですが、信じられないような回答がオペレーターからもたらされたのでした。

「あなたからの電話は受けられないそうです」とオペレーター。なんと、アメックスが私の電話を受信拒否!

一瞬、耳を疑いました。アメックスは、なんと私の電話を受信拒否したのだと、オペレーターが申し訳なさそうに伝えてきたのです。どうしてなんだ! と思わずオペレーターに詰め寄ってしまったのですが、アメックス曰く、

アメックスの担当者

「海外でのトラブルに対応するコレクトコール可能な専用電話がある。よって、ここでは受けられない」

と電話の取次ぎを拒否したとのことでした。

実際には、全く使い物にならないアメックスの「オーバーシーズアシスト」

海外で困りごとがあった場合に架けるための電話番号であるはずなのに、その会員からの電話を受信拒否するという暴挙に出たアメックス。怒りを通り越してあきれ果ててしまいます。さらに、受信拒否したアメックスの担当者が言っていた「海外からコレクトコールが架けることができるから、そっちに架けろ」というオーバーシーズアシストなる専用電話番号ですが、これも全く使い物にならないと言えます。

「なぜ?」

ここでも理由は、「どこに、どのように電話を架けたらよいのか、一般的な日本人が知る由もない」ためです。どういうことか、ご説明いたします。

アメックスのホームページ上で、24時間通話料無料で日本語サポートをうたうオーバーシーズアシストの紹介画面を見ますと、確かにホットラインの電話番号が書いてあります。

https://www.americanexpress.com/jp/content/benefits/product/travel/overseas_assist.html

私はタイにいますので、ここでは、

上記以外のアジア・オセアニア
* 65-6535-1561 (シンガポールセンター)
*印の電話番号はコレクト・コールをご利用ください。

とありますから、コレクトコールで電話を架けるべきことになります。ところが、すぐに次のような問題にぶち当たります。

「それはそうと、タイからシンガポールへ、どうやってコレクトコールを架けろって言うのさ?」

「ここにある番号をダイヤルするだけで、自動的にコレクトコールになるはずがないよね? どうすんのよ??」

タイから日本へと国際コレクトを架ける方法を探すだけでも苦労したのに、英語が苦手な一般的な日本人が、しかもトラブルに見舞われてテンパっている中、外国から外国へとコレクトコールを架ける。この問題に適切に対処できるはずがありましょうか。

「えっ? さっきのKDDIに頼んだらええやん?」

それは私も思ったので、KDDIのオペレーターにシンガポールに繋いでくれとお願いしたのですが、

KDDIのオペレーター

「KDDIは海外と日本とを繋ぐ通話については守備範囲であるが、日本以外の国と国とを繋ぐことは行っていない」

とのことでした。なるほど尤もな話です。

そうすると、タイからシンガポールへと国際コレクトコールをするためには、タイ国内のKDDI的な電話会社に「シンガポールに国際コレクト架けたいのだけど」と電話する必要が生じます。しかしそこには、

「では、タイ国内のKDDI的な電話会社の電話番号は、何番なのだろうか?」

「仮に分かったとして、オペレーターがタイ語や英語だったとしたら、電話した趣旨を正確に伝える自信がない」

という大問題にぶつかります。アメックスのホームページでは「お気軽に日本語でお電話ください」などと英語が話せない方でも安心ですヨみたいにシレッと言っておりますが、そこには簡単には除去できない巨大な障壁が存在していて、とてもお気軽に電話できる状況にないのです。たけしの挑戦状を攻略本なしで「お気軽にクリアしてください」と言っているようなものです。できっこないことです。

よって、タイに旅行中の会員がトラブルでテンパっている中、オーバーシーズアシストまで無事にたどり着くことは、ほとんど不可能と言ってよいでしょう。換言すれば、この問題を乗り越えられる日本人がいたとすれば、そもそもオーバーシーズアシストなど使う必要のない人であるはずです。

ぶっちゃけた話、「お前ら自身で調べて電話しろや。ウチらの知ったこっちゃないから」だそうです

帰国後、アメックスに「受信拒否されたこと」及び「タイからシンガポールへのコレクトコールの架け方が載っていないのでアシストの利用が事実上不可能ではないか」という点を問い合わせました。

まず、「受信拒否」については、平身低頭、謝っておられました。

アメックスの担当者

「その時に電話応対した者の認識不足だと思います、今後は決してそのようなことがないように気を付けます」

とのことでした。改めてホームページを見ますと、

海外からお電話がつながらない場合には、カード裏面の電話番号までコレクト・コールにておかけください。 お電話を転送し、各地域のグローバル・ホットラインにお繋ぎいたします。または折り返しご連絡いたします。

と明記されていますので、その時に電話応対したアメックスの担当者が、単なる「あかさたなは やらわ」だったのでしょう。ですが問題は、タイからシンガポールへのコレクトコールの架け方についてです。この点、ホットラインに架けろと言っているアメックス自身も、どうやら海外コレクトの架け方を知らないとみえ、したがって出された回答が、

アメックスの担当者

「こちらではお電話のかけ方については、ご案内申し上げておりません。会員様ご自身で、お調べなさってお架けくださいますようお願いいたします」

とのことでした。要するに、

アメックスの担当者の本音

「お前らで調べて電話しろや。ウチらの知ったこっちゃないから」

ということでした。余暇を楽しむためのデスクが充実していることを売りにして高い年会費を徴収する一方で、会員が困惑しているのをなおざりにする態度は自らの信用を汚すものではないでしょうか。貴重な意見として社内で共有する旨、その場しのぎの決まり文句をおっしゃられておりましたが、私ひとりが声を上げたところで、真摯に考えてくれるはずもないでしょう。ガッカリしました。

次回は、引き続き実例の検証と、具体的な対応策を考えていきます。

(つづく)

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