女性のお化けを祀る寺。ワット・メーナークで宝クジ当選と恋愛成就を願う

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仏教国タイでは、街の至る所にお寺があって、信心深い国民たちが仏様に手を合わせる姿を簡単に見つけることができます。お寺の中にはとっても個性的なものもあって、トラやヘビが飼われている寺院もあるそうですが、今回私が訪れたのは、なんと怨念すさまじき女性のお化け(ピー)を祀っているというお寺です。理由は不明ですが、そこでは宝くじの当選にもご利益があるとのこと。果たしてどんなお寺なのでしょうか。

女性のお化けを祀る寺。ワット・メーナークで宝クジ当選と恋愛成就を願う

あれもダメ、これもダメ、何をやってもダメ。わが青春の季節は遠い昔に過ぎ去って、今ではうだつの上がらぬアラフォー男の1人でしかない私。これはいかん、何とかせねばと人生に焦りを抱えていた。現状を打破すべく、あるタイ人に、どこか開運に効くお寺はないものかと相談したところ、

「オンヌットに泊まっているって? それなら、近くにあるワット・メーナークに行ってみなさい。ロタリーに当たるかも」

聞けば、境内にあるご神木のような木をナデナデしながらお願いすると、なんと宝くじの当選番号が電撃的にひらめくのだそうだ。日本でも、週刊誌などには高額当選した人の不思議なエピソードの類が紙面を賑わせることがある。これらを読み、次は俺の番だと勇んで宝くじを購入してはみるものの、一向に当たらない人生を送ってきた。

一方タイでは、ここのお寺に参拝し、宝くじに見事当選した幸運な人も少なくないのだという。これは私としても是非あやかりたい。幸い、私が投宿するオンヌットにあるニダ・スクンビットホテルからもバイタクで10分ほどである。これは行かない手はない。バイタクにまたがると、女性のお化けを祀り、宝くじが当たるという特異な魅力のお寺に向かったのであった。

左右にビッシリと並んでいる訳ではないが、参道にはいくつかの商店やら食堂やら、中には辻占いまで見つけることが出来たので、それなりの参拝客を集めているお寺であろうことが想像できた。うん、なかなかの賑わいぶりである。バイタクが到着すると、そこには屋台もたくさんあって、多くのタイ人の姿があった。

こちらの食べ物屋は、全自動ハエ追い機を備えていた。人知の結集である技術革新の成果だ。

母と娘でドリンク屋を切り盛りする。このお店では、子供のおもちゃも扱っていた。

タイ人なら誰でも知っている、怖ろしくも悲しいナークの物語

ここで改めて「ワット・メーナーク」とは何ぞやであるのかをおさらいしておこう。ワットは寺、メーは母親、ナークは女性の名前。だから、「ナーク母さんのお寺」という意味であり、ワット・マハーブットと正式名称を持つお寺の通称である。

では、なぜナーク母さんのお寺と呼ばれるようになったのか? それは、ナークにまつわる、怖ろしくも悲しい伝承がそこにあった。以下、大略はこうである。

ナークは、ある名士の箱入り娘であるが、身分違いの出入りの庭師がナークに手を出してしまう。2人は駆け落ちすると、やがてナークは子供を身ごもった。ここまではよくある話のうちの1つに過ぎないだろう。だが、ここから先に悲劇が待っていた。

庭師が徴兵されることになり、2人は離れ離れに。その間、ナークは難産の末、お腹の子供ともども亡くなってしまうのだが、夫を慕うナークの気持ちが霊となって現れた。ナークの霊が復員した夫を迎えると、人間と霊との新婚生活が再開されたのである。

ところが、夫はナークが霊であることに気付かず、また、村人の「ありゃ化け物だ」の忠告にも、耳を貸さなかった。

しかしある日の事、夫は、落とした物を拾おうとしたナークの腕が怪物くんのようにニュルルルと伸びたのを目撃すると、ナークの実態が化け物であることをようやく悟ったのである。恐怖のあまり、夫はマハーブット寺へと逃げ込んだ。

「こんなに貴方を愛しているのに、どうして私から逃げ出すの? 許せないッ!」

愛情が大きければ大きいほど、その裏返しにある憎悪のエネルギーも強大だ。特に女性のそれが凄まじいことは、身をもって痛い想いをした男性諸氏なら分かるはず。怒り狂ったナークは、次々と村人たちを呪い殺すなど、キラーぶりを遺憾なく発揮した。そこへ救世主のごとく、特殊な霊能力を持った少年僧が現れてナークを退治し、骨壺を運河に投げ捨てた……

これが大まかなストーリーである。悪霊ではあるが、夫を一途に案ずる気持ちがナークをそうさせた一面もあることから、タイではナークに畏敬の念を抱き、ナークを祀ったこのお寺を参拝する人々が後を絶たないのである。これには多くの人が、実話であると信じているともいう。男女の愛憎劇が発端となったこのお寺のご利益は、やっぱり恋愛成就なのだそうだ。熱心に祈りを捧げる人を見ると圧倒的に女性が多かったので、もしかすると

「うちの旦那が浮気をしているのなら、ナーク様、旦那を呪い殺してください」

「ボーイフレンドが私を棄てたなら、彼に災いを与えてください」

そんな願掛けをナークにしているのかもしれない。タイ人女性の嫉妬深さはよく聞く話であり、日本でいう「阿部定事件」の類は、ありふれていてニュースにすらならないとも聞く。タイ人女性とお付き合いする日本男児には、是非とも「ナーク・リスク」を頭の片隅においていただきたい。貴方がゴーゴーバーでうつつを抜かしている間にも、彼女がナークに呪いの願掛けをしているのかもしれないのだから。

夜には、とても1人では参拝できないくらいにインパクトのあるナークの御本尊

お寺は結構な広さがあり、お目当てのメーナーク像に辿り着くまでにはしばしの時間を要したが、そこには神秘的な祭壇やご神木がいくつかあった。

何かの霊が宿っているのだろうか。この木には、十重二十重に巻かれたカラフルなフラフープ的な紐が結ばれていて、崇敬されていることがよく表れていた。

折しも、御本尊を前にして演舞団の奉納ダンスが始まった。ナークの怒りを鎮め、人々に幸福をもたらすための祈りの舞いなのであろう。

中にはやる気があるのかないのか分からない者もいるが、彼女たちはボランティアだと思われる。どこからともなくやって来て、どこかへと去っていった。

お祈りセットを購入し、いよいよメーナークとご対面をする時がやってきた。実はメーナーク像は、写真撮影が禁止なのだという。うっかり撮影してしまったが、画像は削除することにした。ルールを破ってしまったので、少しばかりの罰が私にあった(と思う。この話は後日)。よって、御本尊の写真をアップできないことをお許し願いたい。

像のすぐ上に掲げられたナークの肖像画とは異なり、かなりのインパクトのある御本尊であった。夜、1人でお参りに行けと言われたら、私はとても行けそうもない。それくらいナーク像には迫力がある。タンブンするため順番に並び、ナーク像に金箔を貼り付けた。

「どうか私に素敵な女性を引き合わせてください」

なんと祈りの効果はすぐに出た! ところが……。この話の続きは、近々悲報として公開したい。

恋愛成就祈願の次は宝くじ当選祈願。番号を予言する模擬抽選機もある

タイ人でその名を知らぬ者はいないくらいに有名なメーナーク。数年前にはリメイクされた映画『愛しのゴースト』が作られ、なんと『アバター』や『アナと雪の女王』を押しのけて大ヒットの興行成績を打ち立てたのだという。私は知り合いのタイ人女性に、ワット・メーナークに行ってきたよと話してみたところ、

「ナークはピー(お化け)なのよ。私は怖いからイヤよ」

と一度もお寺に行ったことがないと言うのだ。なるほど同じような理由で敬遠しているタイ人が多かったので、それだけナークの力は恐るべしなのであろう。

さて、ワット・メーナークは恋愛成就の他にも宝くじが当たることで有名である。そこには、当選番号を予言する抽選壺があった。

たくさんのお金がタンブンされている。一攫千金を夢見た人々が壺に手を入れ、数字が書かれたピンポン玉を取り出すと、それが宝くじ購入時に選択すべき番号であるという式だ。

壺はいくつかあったのだが、私はこの壺に、「ロトの当選番号を教えてくださいッ!」と強く念じながらピンポン玉を取り出してみた。

すると不思議なことに、5回引いたうち、同じピンポン玉を3度も引いてしまったのだ。ロトでは同じ数字が2度出ることはない。すなわち、私のハズレを見事予言したのだといえよう。

予言の壺がダメならご神木だ! これまで何千何万の人に「当たりの番号教えてくだせぇまし」とナデナデされたであろうその予言の木は、ために表面が滑らかになって黒光りしていた。また、油でも塗ってあるのだろうか、ギトギトもしていたのである。ここでも私の脳裏に番号が浮かび上がることはなかった。まだまだ信心が足りないようだ。

これまでの人生を反省し、カルマを祓い流すべく、生き物を運河へとタンブンする

ここでは宝くじの当選を半ば諦めた。それなら方針転換だ。これまでの我が行いの不徳を反省し、これからの人生を好転させるべく、タンブンすることにした。

ワット・メーナークには、生き物をすぐそばを流れる運河へと逃がしてやるタンブンを存分にすることもできる。そしてこのタンブンは、逃がしてやる生き物によってご利益が異なっている。それなら私なぞ、全ての種類をたくさん逃がしてやらねばならないのであるが、予算の関係上、いくつかを吟味して放ってやることにした。

水槽には、タンブンされるのを今や遅しと待っている魚類や両生類の生き物がいた。このタンブン屋さんには日本人が多く訪れるのだろうか、日本語で効能が説明されたフリップが用意されていて非常に助かった。

微妙な日本語ではあるが、言いたいことは分かる。この説明書きを頼りに生き物たちをチョイスし、放流先の運河へと向かう。そうそう、この運河は、ナークの骨壺が投げ捨てられた運河でもある。

これは田ウナギか? もしかしたら、『世界の果てまでイッテQ』で宮川大輔が悪戦苦闘して掴んでいたウナギがこれかもしれない。

見ようによっては、魚屋さんのようだ。

わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい。そんなことを願いつつ、魚たちを運河へと放してやった。

対岸には運河に建つ民家もあった。どうか放たれた魚たちを漁獲することだけは遠慮してもらえないだろうか。私の願いが込められているのだから。

ワット・メーナークへの行き方

BTSオンヌット駅下車。オンヌット通りソイ7にある。歩くと結構な距離があるので、タクシーを捉まえるのがベター。「ワット・メーナーク」と一言告げただけでも行き先を理解してくれるはず。10分ほどで到着する。

お寺には、最新式のおみくじもあるので、是非試してもらいたい。番号が示された先の棚に、貴方の運勢が書かれている。

かわいい子猫ちゃんにも会うことができる。

女難の相が出ている方、パートナーの浮気にお悩みの女子、金運を一気にアップさせたい方、みーんなまとめて面倒見るヨ。一度ご参拝あれ。

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