タイ語を修得中の女子大生と友達になった話(前編)

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たとえば日本でなら、街中で女子大生に声を掛けてみること等は、私にはとてもできない芸当であります。ところが、ここタイにおいては、なぜかそういった荒技を繰り出すことも容易になってしまうのです。南国の開放的な雰囲気がそうさせるのでしょうか。袖振り合うも他生の縁とはよく言ったもので、今回は、ちょっとした機会を経て、中国からタイへと渡った留学生たちと友達になることができた、その時のお話です。

地下鉄スクンビット駅。切符を買うため、券売機に並んだその時に、チップスちゃんと袖振り合う

その日、私は所用のため、地下鉄でシーロム駅まで向かうところであった。スクンビット駅はBTSアソーク駅との接続駅でもあり、ラッシュ時ともなれば、多くの乗客でごった返している。その日もいつものように、切符代わりのトークンを買い求めるための乗客が列をなしていた。

まだカナ まだカナ トークンの順番まだカナ 
 

券売機の性能が悪いため、たかだかトークン1つを買うのにも一苦労してしまうバンコクの鉄道事情。鼻歌を口ずさみながら、のろのろと進む列に続いていた時、後ろから、キャピキャピとした笑い声が聞こえてきた。

もしや? と振り返ると、ちょうど通話を終えたばかりの制服姿の女子大生が立っていたのであった。 その時、考えるより先に声が出た、というのが正確かもしれない。私はその女子大生に、

「どこの大学に通っているの?」 

と話しかけていたのだ。たとえば素振りの成果により、鋭い変化球に体が自然に反応してヒットを放つ打者のように、私は女子大生という快速球に反応し、言葉がスッと出たのであった。

何なの、このオヤジ。キモイ……

 恐らく日本なら、このようにいぶかしがられるのがオチだ。だが、ここはタイである。こういう大らかさがあるのがとても良いね。その女子大生は明るい笑顔で

「私はA大学に通っているのよ」

とウエルカム感たっぷりに応じてくれたのだ。彼女の名はチップスちゃん。そうか、A大学なら優秀な学生が通う私学として有名だ。私も何度か近くを通ったことがある。彼女は帰宅途中であったのだが、残念なことに、私と反対方向の電車に乗るのだという。

「じゃあさ、LINEを交換しようよ」

「OK カー」

すかさず連絡先を交換することに成功したのであった。会話を交わしつつ2人でホームに向かう。反対のホームに到着した電車に乗車した彼女がニッコリと手を振りながら去って行くのを見送りつつ、私は余韻に浸っていた。
 
 
なぜなら、トークンを買うまでのわずかな時間の中で、異国の女子大生と友達になれたのである。このエピソードは、その道の達人には取るに足らない出来事かもしれないが、私にとっては、実に大きな一歩として刻まれたのだ。
 
 
 
 
タイ語を勉強するチャイニーズ留学生であったチップスちゃんとは、苦戦の末、夕食のアポを勝ち取る

翌日の土曜日の夜、私はある夕食会に飛び入り参加していた。夕食会の会場最寄り駅は◯◯駅であり、偶然にもチップスちゃんの最寄でもあった。夜9時を過ぎて散会した後、私はチップスちゃんに連絡を試みた。少しの時間でもよいので、お喋りしたかったのである。

ラインを送ると、数分して返事が返ってきた。なかなか反応が良いぞ。私とチップスちゃんの小気味よい会話が続く。その流れの中、チップスちゃんは、自分がタイ語を学ぶ中国人留学生であることを明かした。

チップスちゃん 「I am a Chinese. But I can read Japanease」

私 「すごい!」

チップスちゃん 「哈哈哈哈哈、不能。不像」

日本人なら「(笑)」、欧米人なら「Ha Ha Ha」、タイ人なら「555」、そして中国人なら「哈哈哈」と笑いを表記するようだ。

それにしても、チップスちゃんが中国人だとはゆめゆめ思わなかったし、言われなければタイ人だと信じて疑わなかったであろう。昨夜見たチップスちゃんの立ち居振る舞いが、我々がイメージする「ザ・チャイニーズ」とは大きくかけ離れていたためである。

いずれにしろ、中国からタイ語を勉強しにバンコクへ留学するなぞ、チップスちゃんのお宅は、躾や教育に力を入れることができる、それりの身代なのであろう。

そのためであろうか、私の「これからカフェでお喋りしよう」とのお誘いにも、「今日はもう遅いわ」だとか、「私はシャイガールだし、お化粧してないから」と一向に首を縦に振ってくれなかった。

そうこうしているうちにも時間はどんどん過ぎていき、逆に私自身も眠くなってきた。だが、ここで引き下がっては日本男児の名折れである。硬軟自在な論調でもってラインを続けていると

「でも、明日は日曜日だから、時間があるかも」

苦節1時間、ついに積極発言を引き出すことに成功した。「宿題があるから、もし終わったらネ」と条件を後付けするチップスちゃんに、「何が何でも宿題は終わらせること。加油! 加油!」と激励を飛ばし、明日の会合参加を厳命したのであった。

よし、これで一応のアポは取れた。私は期待と不安とを半分ずつ抱えながら、足取りも軽やかに帰宿した。

次回予告

チップスちゃんはクラスメイト2人と共に、私をローカルな中華料理屋へと案内してくれた。中華式、熱烈歓迎スタイルでのおもてなしである。我々は国境と年齢の壁を越え、友情という固い絆で結ばれたのであった。

次回後編、チャイニーズ・リューシュエションたちとの宴にご期待ください。

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