「狂犬病や野犬は怖くないの?」タイ人に訊いたら意外な答えだった

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先ごろ、狂犬病による死者が14年ぶりに発生いたしました。報道によりますと、フィリピンで犬に噛みつかれたものの、現地の病院で適切な治療を受けていませんでした。その数か月後、日本へ入国した後に狂犬病が発症し、亡くなられたとのこと。ここで改めて、狂犬病は「発症したらほぼ100%助からない」怖ろしい病気であることがクローズアップされたのでした。

さて、タイ国内では、非常にたくさんの野犬や野良犬の姿を見つけることができます。当然、予防接種がなされていないそれらには、狂犬病を保有しているのではないかとの強い疑いが向けられます。

しかしながら、現地タイ人の様子を見ますと、野犬に細心の注意を払っているとは到底思えない態度なのです。屋外で宴会などをしているすぐ横に野犬が現れたとしても、全くのノーマーク。私なら恐怖のあまり、とてもその場で飲食することはできないでしょう。

「タイ人って、野犬が怖くないのかしら?」

そんな素朴な疑問を抱いたことから、今回、タイ人に突撃インタビューを敢行することにいたしました。

タイ人の野犬に対する意識とは? それでは、ご覧くださいませ。

「狂犬病や野犬は怖くないの?」タイ人に訊いたら意外な答えだった

日本は、世界でも数少ない狂犬病清浄国である。数十年の間、国内で発症した例はない。海外で噛み付かれ、帰国した後に発症した数例があるのみである。

いや、狂犬病どころか、(一部の地域を除き)野良犬の姿さえ見かけることはほとんどない。

したがって日本人は、狂犬病を身近なものとして考える必要がないことから、危機意識が疎かになりがちである。狂犬病は、現代医学をもってしても太刀打ちできない怖ろしい病気だというのに、である。

そんな甘い認識でタイを歩き回ることは危険だ。なぜなら、町の至る所で、素性の知れない汚らしい野犬が潜んでいるからである。中には、コンビニの中で堂々と涼をとるお犬様さえいるくらいだ。

だが分からないことに、タイ人はそんな野犬でも積極的に忌避しようとせず、特段気にかけている様子がない。私には、むしろ野犬と共存しているように思えてしまうのだ。

「タイ人は、犬が怖くないのか?」

そんな素朴な疑問を、4人のタイ人にぶつけてみた。

タキーさん(ショップ店員 20代・女性)の場合

Q1:あなたは、野犬が怖いですか?

 A1:アタイは犬なんて怖くないわよ。あなたは怖いの? ハハハ。

Q2:なぜ怖くないのですか?

 A2:だって、今は野犬の数も少なくなったのよ。

◆寸評◆

「数が少ないから」野犬が怖くないという理由がよく分からないのだが、たしかに近年のバンコクは野犬が減った印象がある。なんでも、タイ当局は狂犬病清浄国を目指しているのだそうで、人知れず野犬の捕獲作戦を実施しているのかもしれない。

ポップさん(会社員 30代・男性)の場合

Q1:あなたは、野犬が怖いですか?

 A1:うん、とても怖いね。

Q2:どのようにして、野犬を避けていますか?

 A2:とにかく近づかないようにしている。

Q3:もし野犬に襲われたらどうしますか?

 A3:とにかく走って逃げる。

Q4:意外にも犬が怖いんだね

 A4:野犬を好きな人なんて誰もいないよ。

◆寸評◆

私が意外に感じたのは、タイ人男性であっても「犬を怖がっている」という事実である。街中で観察していても、そんなそぶりを見せたタイ人男性を見たことがないのであるが、どっこい、犬を怖がっているというのだ。そして、野犬の襲撃を回避する方法もシンプルに「近づかない」だった。

だが、「走って逃げる」というのは、野犬相手には違う気がする。逃げる獲物を追いかけるのが、犬に刻まれたDNAではなかったか。

ダオさん(会社員 30代・女性)の場合

Q1:あなたは、野犬が怖いですか?

 A1:怖いに決まってるでしょ。

Q2:どのようにして、野犬を避けていますか?

 A2:近づかないようにしているわ。

Q3:もし野犬に襲われたらどうしますか?

 A3:走る。

◆寸評◆

彼女もまた、ポップさんと全く同じ回答であった。タイの女性も、やっぱり犬が怖いのである。だが、フローレンス・ジョイナー並の走力もないのに、襲われた場合のソリューションが「走る」では、危機管理能力を疑わざるを得ない。

ネンさん(自営業 30代・男性)の場合 ◉ベストアンサーに選ばれた回答

Q1:あなたは、野犬が怖いですか?

 A1:基本的に、野犬は人を襲ったりしないよ。たとえば、コンビニの前でたむろっている野犬がいるよね? 奴らは、そこがコンビニであって、自分たちの根城ではないことを理解しているから危険はないんだ。

Q2:どのようにして、野犬を避けていますか?

 A2:気をつけるべきは、さびれた暗い夜道を一人で歩くことだね。こういったケースなら危ないと思うよ。

Q3:もし野犬に襲われたらどうしますか?

 A3:私の経験によれば、走って逃げることは止めた方がいいね。むしろ、何事もなかったかのように歩いて奴らの縄張りから抜け出す。これがベターだと思うよ。

Q4:その他、野犬について教えてください

 A4:うーん、普通の野犬なら、人が縄張りに立ち入らない限りは攻撃してこないよ。でも、ヤバイ野犬なら、誰かれ構わず無差別攻撃をしかけてくるよね。こういう奴らが狂犬病に罹っているんじゃないかな。

あとそれから、もし君が自転車に乗っているのなら、野犬に対する危険度は違ってくる。奴らは、自転車を漕ぐ君を追いかけてくるだろう。なぜかは分からないけどね。

◆寸評◆

質問した4人の中でも、もっとも詳細に回答してくれたのがネンさんであった。経験に裏打ちされた彼の言葉には説得力があった。たとえ野犬に吠えられても走ったりせず、歩いて縄張りを抜け出すことが最善であるなど、犬の習性にも符合した回答であった。よって、ネンさんをベストアンサーとしたい。

「タイ人だって野犬は怖い」インタビューを終えて

これまで私は、「タイ人は犬を怖がってはいない」ものだと考えていたのだが、実際には、野犬を怖い存在だと捉えている事実を知った。

しかしその一方で、「だったらなぜ、あんなに平気な顔をして野犬と共存していられるのか? なぜ行政に駆除を要請しないのか?」という疑問も深まったのであった。

私なりの結論は、「怖いけど、普通に生活していれば、野犬による害はない」から「いちいち野犬に構う必要もない」と考えているのではないか。日本とタイの国民性の違いによるところも多分にあるだろう。

犬には、人間が犬に抱く恐怖の感情を察知する能力があると聞く。それをキャッチした犬は「俺様の方が人間より強い」と精神的に優位に立つため、ワンワンと調子に乗って攻めてくる。

「キャー! 野犬よ! 行政何やってんのよ、すぐに駆除しなさーい。 キー!」

これは人間と野犬にとって、負のスパイラルと言えなくもない。

逆にタイ人のように、野犬を眼中にない存在として扱えば「あれ? 俺たちのこと怖くないのかな。じゃア、人間を威嚇するの、やめとこ」となる。人間と野犬との間に無用な諍い(いさかい)が生じないから、わざわざ金と労力をかけてまで駆除しようとは思わない。

これは人間と野犬にとって、Win-Win の関係とも言えなくもない。

こんな不思議な均衡のもと、タイの野犬事情が存在しているのではなかろうか。

狂犬病は怖い。しかし対策を立てることはできる

もし発症してしまったら、99.9%助かる見込みのない狂犬病。もちろん怖ろしい病気ではあるのだが、野犬に噛み付かれるシチュエーションを減らすための対策を立てることができる。

タイで野犬に噛みつかれないための、4つのルール

✅ 夜道の一人歩きをしない

✅ 野犬の縄張りに近づかない

✅ 吠えられても怖がるそぶりをみせない(ハッタリをかます)

✅ 走って逃げない。むしろ、ゆっくり歩いて立ち去る

これは犬の嗅覚によるものなのかどうかは分からないが、タイの野犬は、現地人と日本人(外国人)との違いを認識できるように思える。我々に対する、目つきや反応が鋭いのだ。特に野犬が行動的になる夜間の一人歩きにおいては、十分な警戒が必要である。

なお、狂犬病予防ワクチンについては、私の体験談を参考にしていただきたい。

「タイでは野犬に注意せよ。なぜなら狂犬病のおそれがあるー」 狂犬病の怖ろしさは誰もが知るところですが、狂犬病の正しい知識を持っている方、狂...
もし発病したら、99.9パーセント助からないー。 現代医学を持ってしても太刀打ちできないという、最恐レベルの病である狂犬病。日本では清...

いずれにしろ重要なことは、狂犬病と野犬とを正しく理解し、正しく行動することであろう。

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